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薬剤師の需要と供給


薬剤師の需要と供給 

 現在、薬剤師は31万人登録されており、毎年およそ8,000人の新人薬剤師が誕生している。
 2003年以降、全国で薬学部が次々と設立され、6年制も導入された。一方で定員割れの大学が11校もあるなど薬剤師育成の環境は大きく変化している。
 そこで厚生労働省では、現在、新たに薬剤師の需給予測を開始し、2007年6月には第一弾の予測数値として「議論のたたき台」ともいうべき概算値を発表している。

20年後には13万人の余剰?

 厚生労働省の需給予測によると、薬剤師の供給数は2005年の31万3,530人から、2009年に33万4,177人に増加する。その後、薬学6年制への移行に伴って2011年にはいったん32万7,314人まで減るものの、それ以降は増え続けて2028年には40万7,561人と予測している。
 需要数は2005年の23万156人から毎年微増を続けて、2028年には27万8,704人になるとして、今から約20年後の段階で13万人ほどの「余剰薬剤師」が生まれる予測になっている。

長所育成が個々のカギに

 前述のデータは、社会状況などの可変的な要素を組み込まない試算値のため、今後さらに精査された予測値を待たなければならない。薬剤師の需要には地域間格差もあり、地方では都会ほどの余剰にはならないという意見もある。しかし、日本全体でみて下カコミのような要素を検討すれば、薬剤師が不足している状況から、余る状況へと徐々に移行していくことは間違いなさそうだ。
 今後、必要とされる薬剤師として活躍し続けるには、高いスキルや知識、コミュニケーション能力など、長所を磨いて職場や社会に貢献することが求められるであろう。

薬剤師の需給

前述の「薬剤師国家試験」の【過去の試験回数別合格者数】で記したように、これまでは毎年約8000人の新卒薬剤師が誕生してきた。しかし2003年以降、全国で薬学部が次々と設立されたことや、薬剤師国家試験を受けられる薬学部が4年制から6年制となり、薬剤師養成の環境は大きく変化している。2007年5月、厚生労働省は薬剤師需給の将来動向に関する検討会を設置、6月には「薬剤師需給予測」についての概算を公表した。 (出典:「H19年6月開催「第2回薬剤師需給の将来動向に関する検討会」配布資料)

薬剤師需給の試算200620072008200920102011201220132014201520162017
総薬剤師(新卒・平均) 317,642 321,732 327,448 334,177 330,822 327,314 333,230 339,891 346,330 352,710 358,488 368,825
総薬剤師(総数・平均) 318,380 323,622 330,546 338,515 337,587 334,600 339,646 347,158 354,976 362,799 370,034 376,856
需要(無職者含まない) 234,709 238,150 241,302 244,329 247,851 251,581 255,248 258,966 261,469 262,451 263,417 264,401
需要(無職者含む) 247,273 250,528 253,504 256,387 259,851 263,359 266,948 270,598 273,006 273,861 274,703 275,588
 20182019202020212022202320242025202620272028 
総薬剤師(新卒・平均) 368,512 373,022 377,731 382,210 386,572 391,025 395,741 399,253 402,130 405,001 407,561  
総薬剤師(総数・平均) 382,012 389,096 395,374 401,384 407,264 413,230 419,456 424,479 428,870 433,260 437,342  
需要(無職者含まない) 265,437 266,539 267,698 268,912 270,168 271,488 272,810 274,197 275,636 277,139 278,704  
需要(無職者含む) 276,487 277,480 278,535 279,648 280,804 282,003 283,241 284,524 285,861 287,264 288,731  

この薬剤師需給予測によると、薬剤師の供給数(総薬剤師数)は、2006年の317,642人から2009年までは毎年増加。その後、薬学部6年制への移行に伴い、新卒者がいない2010・11年の2年間はいったん減少する。それ以降は増加に転じ、2028年には407,561人と予測している。需要数は、2006年の234,709人から毎年微増を続けて、2028年には278,704人になるとしている。

なお総薬剤師の全員が薬剤師としての職に就業または就業を希望しているわけでなく、育児などで離職した者もいると考えられる。2002年、薬剤師問題検討会が公表した資料「薬剤師需給の予測について」によると、薬剤師としての職に就業または就業を希望している有職薬剤師の供給数は単調に増加するが、薬剤師の需要はある一定のところに達したあと定常状態になると仮定している。そのため有職薬剤師の供給数と総薬剤師の需要数の差は、2013年には約35,000人、2018年には約50,000人、2028年には77,000人と予測され、就職するのが難しい薬剤師が出てくると考えられる。