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新型インフルエンザ、フェーズ5に


新型インフルエンザ、フェーズ5に

新型インフルエンザ(H1N1)について、WHOは2009年4月29日(現地時間)緊急記者会見を行った。マーガレット・チャン事務局長は、警戒レベルを「フェーズ4」から「フェーズ5」に引きあげると発表。また厚生労働省は2009年4月29日、「当面の政府対処方針」や「症例定義及び届出様式」等の資料をホームページに掲載した。http://www.mhlw.go.jp/index.html

●WHO記者会見より【マーガレット・チャン事務局長のコメント】2009.04.29
・警戒レベルを、フェーズ4からフェーズ5に引きあげると決定した
※WHOでは、パンデミックが起こる前からパンデミックがピークを迎えるまでを状況に応じて6段階に分類している。フェーズ4はヒト-ヒト感染が効率的に起こるようになった状態で、新型インフルエンザ対策行動計画においては、国内での新型インフルエンザの発生は認められていない「第一段階(海外発生期)」に当たる。フェーズ5は、パンデミック(世界的大流行・フェーズ6)の一歩手前となる。
・すべての国は、パンデミックに備えた計画を実行に移すべきである。
・今の段階で有効で不可欠な措置は、警戒を強化し、早期発見・早期治療、すべての保健施設における感染の抑制である
・政府、保健省とその他の省、医薬品業界、企業に対して、緊急対応が求められている
・抗ウイルス剤を製造している企業は製造の増産体制をとってほしい。インフルエンザワクチンのメーカーに対しては、パンデミックのワクチンの開発を求める。
・国際社会は、対応と準備を強化する機会であるととらえるべき。

●厚生労働省資料より抜粋
【当面の政府対処方針】2009.04.27
~豚インフルエンザ対策に関する関係閣僚会合~
1.国際的な連携を密にし、メキシコ等における状況、WHOや諸外国の状況、ウイルスの特徴等に関する情報収集に最大限の努力を払い、国民に迅速かつ的確な情報提供を行う。

2.在外邦人に対し支援を行うこと及びウイルスの国内進入をできる限り防止することを目的として、以下の水際対策を実施。
(1)メキシコ等の在外邦人に対する情報提供を含む支援の強化
(2)検疫・入国審査の強化、空港における広報活動の強化
(3)メキシコ等から入国した感染者や感染したおそれのある者に対する適切な医療等の措置

3.ワクチンの製造について早急に検討。

4.国内における患者の発生に備え、以下の対策を実施。
(1)保健・医療分野を始めとする全ての関係者に対する的確な情報提供
(2)発熱相談センターと発熱外来の設置の準備
(3)国内サーベランスの強化
(4)電気・ガス・水道、食料品・生活必需品等の事業者に対する供給体制の確認や注意喚起

【新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)による症例定義および届出様式について】
1.医師は、<別紙1>の症例定義に基づき、新型インフルエンザ(豚インフルエンザウイルスA/H1N1)の疑似症例と診断した場合には、直ちに最寄りの保健所に報告する。
2.当該報告を受けた保健所は、直ちに、別紙2により、FAX等で厚生労働省及び中央感染症情報センターに届出を行う。
3.保健所は、報告を行った医師と連携して、当該者について検体を採取するとともに、当該者の病原体検査のため、検体を地方衛生研究所に送付する。
4.地方衛生研究所は当該検体を検査し、その結果について保健所を経由して診断した医師に通知するとともに、保健所、都道府県等の本庁に報告する。
5.地方衛生研究所は、当該検体の検査結果において新型インフルエンザ(豚インフルエンザウイルスA/H1N1)を疑わしいと判断した場合、国立感染症研究所に検体を送付するとともに、保健所は、別紙2により、FAX等で都道府県等の本庁及び厚生労働省に送付する。
6.国立感染症研究所は、地方衛生研究所から検査依頼を受けた検体について検査を実施し、その結果を当該地方衛生研究所及び中央感染症情報センターへ通知する。

<別紙1>新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)症例定義
(1)定義
新型インフルエンザウイルス(豚インフルエンザウイルスH1N1)の感染による感染症である。

(2)臨床的特徴
咳や鼻水等の気道の炎症に伴う症状に加えて、突然の高熱、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛等を伴うことを特徴とする。なお、国際的連携のもとに最新の知見を集約し、変更される可能性がある。

(3)届出基準
ア:患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者のうち、38℃以上の発熱または急性呼吸器症状※1のある者を診察した結果、症状や所見から新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。

【検査方法と検査材料】
・分離・同定による病原体の検出、または検体から直接のPCR法(Real-timePCR法、Lamp法等も可)による病原体の遺伝子の検出/喀痰・咽頭ぬぐい液・鼻汁・便・髄液・血液・その他
・中和試験による抗体の検出(ペア血清による抗体価の有意の上昇)/血清

イ:疑似症患者
医師は、38℃以上の発熱又は急性呼吸器症状*1があり、かつ次のア)イ)ウ)エ)のいずれかに該当する者であって、インフルエンザ迅速診断キットによりA型陽性かつB型陰性となったものを診察した場合、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
ただし、インフルエンザ迅速診断キットの結果がA型陰性かつB型陰性の場合であっても、医師が臨床的に新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)の感染を強く疑う場合には、同様の取り扱いとする。

ア)10日以内に、感染可能期間内*2にある新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)患者と濃厚な接触歴(直接接触したこと又は2メートル以内に接近したことをいう。以下同様。)を有する者
イ)10日以内に、新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)に感染しているもしくはその疑いがある動物(豚等)との濃厚な接触歴を有する者
ウ)10日以内に、新型インフルエンザウイルス(豚インフルエンザウイルスH1N1)を含む患者由来の検体に、防御不十分な状況で接触した者、あるいはその疑いがある者
エ)10日以内に、新型インフルエンザが蔓延している国又は地域に滞在もしくは旅行した者

※1.急性呼吸器症状:
急性呼吸器症状とは、最近になって少なくとも以下の2つ以上の症状を呈した場合をいう
ア)鼻汁もしくは鼻閉
イ)咽頭痛
ウ)咳嗽
エ)発熱または、熱感や悪寒

*2 発症1日前から発症後7日目までの9日間とする。
<備考>
診断の際には、新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)の流行情報、豚やインフルエンザ症状のある者との接触歴、渡航歴、職業などの情報を把握することが有用。