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病院


病院 

近年、病院薬剤師の活躍の場は薬局内から臨床へと広がりを見せている。一方で、医薬分業の拡大によって、薬剤師の定数を削減する病院も多くなっている。

病院の薬剤師とは

 かつて薬剤師の働く場所といえば、病院が筆頭にあげられていた。次から次へと訪れる患者の薬剤を急いで準備し、投薬していく。急いでも急いでも間に合わず、患者サイドから見れば、薬を受け取るのに、1時間、2時間待たされるケースも珍しくはなかった。病院の薬剤師は、薬局内でひたすら調剤に励む「調剤マシーン」であったとさえ言えるかもしれない。
 しかし、今日の病院での風景は、昔日のそれとは大きく変わるものとなった。実習に行った薬学生なら分かると思うが、今や病院の薬局で「調剤マシーン」にならなければいけないケースは数少なくなっている。医薬分業が進んだため、ほとんどの病院では外来患者の薬を院内の薬局で調剤することがなくなったためである。その分、薬剤師の能力は入院患者へと向けられている。
 医療費抑制政策を受け、日本の病院は今後、長期入院の元となる療養型病床が減少し、治療型中心へと大きくシフトしていくであろう。病院が最適な治療効果を発揮するために、薬剤師に求められる仕事は責任が重くなっているのである。

主な仕事内容

臨床服薬指導・TDM・薬剤の管理・院内製剤・無菌製剤・外来患者調剤

 もちろん現在でも、医師の処方箋に沿って薬剤をピックアップし、投薬時に服薬指導を行うといった、外来患者への調剤が仕事の基本となっている病院もあるであろう。しかし、現代の病院薬剤師の仕事は、入院患者への医療ケアにシフトしているのが主流である。中でもメインとなるのは、入院患者の「ベッドサイドでの服薬指導」である。薬剤の変更があれば、新しい薬剤について解説し、副作用の兆候がないか確認する。もちろん、きちんと薬を飲み続けているかどうかの確認も、大切な仕事である。治療方針に分からないことがあっても、患者の多くは医師や看護師に聞けずにいるケースが多くある。薬剤師は薬という媒介を通して、患者の疑問を解消してあげる役割も担っている。薬の専門家として、分かりやすく、丁寧に入院患者を指導することが求められている。
 「TDM」は治療を重視する今の病院において、医師と薬剤師が共同で行う重要な業務である。免疫抑制剤のように、患者ごとの個体差の激しい薬剤に関して、血中濃度を測定して、そのデータを基に最適な用法・用量・使用間隔などを決定する。さらに、「薬剤の管理」も薬剤師にとって重大な業務。注射薬一つとっても、病院にとっては大切な資産。万一、紛失することになったら、大変な責任である。それが疼痛緩和剤の「麻薬」ともなればなおさらである。また注射薬は、かつて医師の指示で看護師が投与準備を行っていたが、近年は個々の患者の注射箋によって、薬剤師が専門性を活かしてセットするようになっており、薬の混合なども行っている。他にも点眼薬、軟膏などの「院内製剤」や高カロリー輸液の「無菌調製」も薬剤師の仕事である。

就職活動のポイント

 志望者の数に対して、採用数が圧倒的に不足しているのが病院薬剤師の特徴である。学校に掲示される募集情報はマメにチェックしなければならない。それ以外は、自分の足で情報を探す。OG・OBに問い合わせたり、実習時の先生、先輩に問い合わせをしてみたり、あるいは各病院の薬剤部に直接問い合わせをするなど、積極的なチャレンジが大切である。
 公立の病院では、公務員試験受験の有無が施設によって異なるので、病院に問い合わせが必要である。

こんな人が向いています

・数少ない患者さんとじっくり向き合いたい人
・専門性を高めたい人
・一地域で長く勤めたいと考えている人