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薬剤師の現状


薬剤師の現状 

薬剤師の現状は医薬分業の進展や薬剤師不足など、就業・待遇については追い風が吹いている。 ただ薬剤師の将来については制度の変更次第では大きく変わる可能性もある。

医薬分業の進展

薬剤師の現状でもっとも影響があったのは医薬分業の進展である。医薬分業のきっかけとなったのは、処方せん料が従来の5倍になった1974年といえるだろう。その後、当時の厚生省(現・厚生労働省)は、各種の医薬分業事業を推進したことで、院外処方せん率は徐々に伸びていった。全国平均の処方せん受け取り率は、1974年に1%未満だったが2002年に50%を突破し、2006年には58.3%となっている。医薬分業が進むにつれて、薬剤師は調剤を行うだけでなく、服薬指導や薬歴管理、薬剤情報提供にも報酬(点数)が与えられるようになった。

医薬分業率 ベスト10(平成19年1月)
1.秋田県 74.8%
2.佐賀県 72.7%
3.神奈川県 71.6%
4.新潟県 69.2%
5.宮城県 67.9%
6.東京都 66.9%
7.沖縄県 66.2%
8.宮崎県 65.4%
9.北海道 64.5%
10.岩手県 64.1%

薬剤師不足

医薬分業の進展は、薬局(調剤薬局)の増加にも拍車をかけている。処方せんを受ける薬局は、病院や診療所の前に次々と開局された。
現状は、薬局の薬剤師が1日で受付できる処方せんは40枚(科によって例外もある)と決められており、処方せんの枚数が多くなれば、それだけ薬剤師もおかなければならない。
年間約9000人の薬剤師国家試験合格者のうち、最近ではその3割が薬局に就職しているが、薬局・ドラッグストアの増加が上回っており、薬剤師の不足は薬局経営者のもっとも大きな問題となっている。
薬剤師の偏在により、地方や薬科大学のない地域での薬剤師の採用は現状大変難しくなっている。

4年制から6年制へ

高度な専門知識を求められる薬剤師への要請に対応しようと、2006年4月より薬学部の6年制が導入され、専門性の高い薬剤師を育てていくことになった。なお従来の4年制(薬剤師国家試験の受験資格なし)は薬科学科として存続し、卒業後は薬学士として製薬企業や行政機関への就職や大学院修士・博士課程への進学を経て薬科学博士号を取得する道がある。
6年制のカリキュラムでは、病院、薬局の実務実習が必須となっており、実務実習を行う学生に必要な基本的能力が備わっているかを評価するための試験(OSCE、CBT)が行われる。

薬科大学の新設ラッシュ

2003年に20年ぶりに薬学部が新設されてから続々と薬学部が誕生し、この5年間で薬学部がある大学の校数は1.5倍、定員は1.6倍に増加した。
薬科大学の増加、6年制への影響、少子化による受験生の減少、景気の回復による医療系大学の人気低下など、大学の増加ペースに追いつかず定員割れの大学が出始めました。
薬科大学の新設ラッシュは現状収まりつつありますが、今後は受験生を集められない薬科大学は淘汰されると言われている。

薬科大学の再編

共立薬科大学と慶應義塾の合併が行われたり、関西大学、大阪医科大学、大阪薬科大学の3大学が共同学部を設置するなど、薬科大学をとりまく環境はますます変化していくであろう。